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行方不明者の家族の方へ

 今回の震災では大切な方の存在がまだ確認できない方が数多くいらっしゃいます。大切な方の存在が確認できないことは,ご家族や友人にとって非常に大きなストレスになります。その方の事をいつも考えて不安になったり,亡くなっているのではないかと気持ちが沈んだり,時には生きているはずだと思ったり、とても不安定な状態になります。また,こういう気持ちが周囲に理解されないために,「忘れなさい」,「あきらめなさい」と言う言い方をされて傷つくこともあります。

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 このような行方不明の方がいらっしゃる家族や友人のお気持ちの状態は,「あいまいな喪失(ambiguous loss)」と呼ばれています。アメリカのミネソタ大学のPauline Boss博士が提唱した考え方です。あいまいな喪失には2つの意味があります。一つは,実際にいなくってしまっているのに,その生死が確認出来ないような状態です。もう一つは,存在しているのに,今までと変わってしまったことで心理的には喪われているような状態です。今回の災害で大切な方の生死が確認できない状態は,①の状態に該当します。また、福島の被災者の方のように、家が存在するのに戻ることができないような状態は②に該当します。

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 あいまいな喪失には,答えがありません。誰もその方が生きているのか亡くなっているのか正しい答えを出す事が出来ません。そのような状態では,家族は,その方を待ち続ける事になり,自分がどのように考えたらよいのか,またどのように生活したらよいのか,どのように生きたらよいのか,またその方をどのように考えたらよいのかわからなくなります。これはとても不安定で,どうしてよいかわからない状態です。また、家族の中でも、1人1人、そのとらえ方や感じ方が異なります。亡くなっているだろうと思う場合でも,それが確認できない限り,人々は希望を持ち,待ち続けるものです。

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 そのような場合に,家族はどうしたらよいのでしょうか? 多くの場合,自分であきらめなくてはならないと思ったり,周りからはあきらめるようにすすめられたりします。そのように心を決める事はとても辛い事です。
 Boss博士は,このような状態の方にこう勧めています。「決める必要はない」と。どうしてでしょうか? 「わからない」というのがこの場合最も正しい状態だからです。しかし,「分からない」状態に家族が対処できるようになることは大変なことです。しかし、それが必要なのです。

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 ですから,今も大切な方の存在がわからくて苦しんでいる方は「どちらかに決める」必要はありません。亡くなった人の追悼儀式に出たくないと思えば出る必要はありませんし,無理に葬儀などをして、亡くなったことにする必要もありません。ただし,存在が分からなくなっている方との繋がりを感じられるようなことをすることは大切です。例えば,その方のことを家族で話したり,写真を飾ったり,その方の好きなお花を飾ったりすることは,その方と心の中での繋がりを取り戻すうえで役に立ちます。

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 同じ立場にある人や、家族や自分の思いを理解してくれる人に、今の思いを少し話してみることが良いこともあります。たとえ相手の人が自分と違う思いであったとしても、それであなたが間違っているということは決してありません。状況があいまいで不確実なので、出てくる思いや考えも人によってさまざまなのです。あいまいな喪失への対処は、「ひとりひとり考え方が違っても良い」ということから始まります。あなたの周囲の人も、あなた自身も、そのことを認められるようになれば、互いに支え合うことができます。自分の思いが尊重されたと感じた時、人は次の一歩を踏み出せるのです。

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*行方不明者の家族の方は、「あいまいな喪失 情報ウェブサイト」を是非お読み下さい。

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