悲嘆反応とは


悲嘆(グリーフ)とは

悲嘆(グリーフ)を理解する上で、まず大切なことは、人によってさまざまな表れ方をするということです。代表的な悲嘆反応は以下のようなものですが、個人差があります。

 

【起こりやすい感情】

1.ショック・無感覚・麻痺

起こったことが現実でないように感じる、ぼうぜんとなる、感覚が麻痺したようになる。
*周囲からは冷静に見え、悲しんでいるように見られないこともある。

 

2.否認

事実を認めたくない、受け入れられない。

 

3.絶望感・無力感

生きていく意味が見出せない、希望を失う、何かをする力が出ない、自分も人生を終えてしまいたいとさえ思う。

 

4.恐れや不安

自分自身がコントロールできないことへの恐れ、ひとりぼっちになってしまうのではないかという恐れ、同じことがまた起こるのではないかという恐れ、この世界が危険に満ちており安心できないという恐れなど。

*音やにおい、感触などで、恐れや悲しみが引き起こされたり、パニックを引き起こすこともある。

 

5.悲しみ

その人が帰ってくることがない、もう会えない、元の生活に戻ることはないという悲しみ。

 

6.思慕

亡くなった人を慕い、会いたいという強い気持ち。

 

7.怒り

死が起こったことに対する怒り(神や運命への怒り)、死の場面やその状況・原因に関わった人への怒り、自分の気持ちを理解してくれない人への怒り、なぜ自分の家族が…という不公平に対する怒り、あるいは家族を助けることができなかったという思いからくる自分自身への怒りなど。

 

8.後悔や自分を責める気持ち

「あの時、もっと~していれば(~しなければ)…」「自分のせいで…」と思う、もっと守れたのではないか、自分だけがどうして生き残ったのだろうと思う気持ち。

*特に大切な人を亡くしたあとは、survivor’s guilt(生存者罪悪感)と呼ばれる自分責める気持ちが強く出ることが知られている。

 

9.奇跡を願う気持ち

「どこかで生きているのでは」「生き返るのでは」と希望を持ち続けようとする気持ち。

 

10.恥

自分は役に立たない、以前のように行動できない、すぐにめそめそしてしまう、その死別に対して人はなんと思うのだろう、と自分を恥じる気持ち。

 

【起こりやすい思考、行動、身体症状など】

1.反すう、取りつかれ(死や故人を繰り返し思い起こすこと)

亡くなった時のことや故人のことが繰り返し頭に浮かぶ、故人のことばかり考える、そのたびになぜそれが起こったのか、なぜ自分なのか、どうすれば防げたのかと考え続けてしまう、死に関する悪夢や故人の夢を見る、など。

 

2.集中力の欠如

今やっていることに集中できない、思考力や判断力が低下しているように感じる、など。

 

3.行動の変化

以前より泣く、一日中ぼんやりしている、その出来事や故人を思い出すことを避ける、今までなかった行動をとる(過剰に忙しくする、引きこもる、アルコールや薬物の量が増えるなど)、故人の持ち物などに固執する、など。

 

4.起こりやすい身体症状

食欲の低下、眠れない、極度の疲労感(疲れやすさ)、胸の圧迫感、頭痛や腹痛、めまい、口の渇き、のどのつまり、息苦しさ、体に力が入らない、血圧や心拍数の増加、音やにおいなどへの過敏さ、など。

 

5.家族や友人などとの人間関係への影響

家族や友人がいても孤独に感じる、一方で誰かにいてもらわないと不安になる、など。

 

※Cruse Bereavement Care:災害用 遺族向けリーフレット「Coping with trauma and loss」などを参照