災害時の情報伝達の注意点


心のケアの専門家の方へ

情報は、災害で家族や近親者と離ればなれになり、その生死もさだかではない被災者にとって、非常に重要なものです。暴力的あるいは不確実な状況の中では、なおさらです。

 

以下は、災害急性期に情報伝達を行う際の注意点です。ただし、どのように情報を伝え、コミュニケーションをとっていくかは、災害の性質や、行方不明者の安否確認の状況などによって異なります。

 

1)コミュニケーション

〇多くの被災者はまず、いったい何が起きたのか、自分の家族や近親者の所在や安否はどうなっているのか、現時点でどのような救援が行われているのか、といったことを知りたがっています。災害急性期、多くの人の気持ちは高ぶっており、とても不安な状態にあります。被災者の悲しみや窮状に寄り添いつつ、被災者が不安に思うこと、聞きたいことを正確に把握することが大切です。

 

〇わかっていることに関しては、できるだけはっきりと具体的に話しましょう。また、まだ判明していない事柄や、それを解決するために現在行われている活動、そして今後予定されている活動ついても、はっきりと伝えておく必要があります。

 

〇災害の種類によって、被災者のニーズは多様です。最も困難な中にいる被災者の状況を正確に理解するために、複数の機関が連携し、アウトリーチを進め、その被災者に関わる中で、情報伝達と心理的サポートを提供します。(「災害時のアウトリーチ」参照)

 

2)情報伝達

〇被災者の情報伝達経路を明確にしておくことは、大変重要です。被災者がどこにいけばその人が望む詳しい情報を得られるのか、それがわかるのはいつ頃か、その手段や手続き方法などについて、災害後のできるだけ早い段階に、その経路を整えていくようにします。

 

〇人為災害やテロのような場合には、刑事問題や法的措置が生じる可能性を考慮し、その複雑な手続きに関する情報伝達経路を整えることも大切です。

 

〇情報伝達は、被災者だけでなく、救援者にも必要です。災害時には、救援者もまた命の危険にさらされ、大きな外傷や喪失を負う危険性があります。また、被災者に適切な対応をとるためにも、救援者に正確な情報をいかに伝達するかが、大変重要です。救援者に対しても、災害の状況に精通し、経験豊かで共感性の高い人やシステムによる支援が必要となります。

 

〇公機関の情報は、複数のメディアやインターネット、紙媒体を通し、さまざまな手段で広く知らせる必要があります。

 

 

災害急性期の被災者の心理的支援の多くは、介入的支援ではありません。支援の目的は、どんな急性期の反応に対しても判断せずに受け入れ、相手に寄り添うことであり、相手が話したければ話し、質問されれば穏やかに応え、相手のニーズに合わせて段階的に手をさしのべていきます。その中で、情報提供は被災者が今後の見通しをたてるための重要な手段になります。

詳しくは、「サイコロジカル・ファーストエイド」のページも参照して下さい。

 

 

*このページはBeverley Raphael博士に特別に提供頂いた “ Loss and grief; disaster deaths, their implication and ,management”の原稿を参考に作成しました。