自分の目の前にある現実を、ありのまま受け入れるには時間がかかります。その状況に慣れることは大変なことです。悲しみに圧倒され、まるで自分の身体の一部を失ったかのように感じるかもしれません。 困難な時期には、毎日、自分にできることを少しずつやってみることが大切です。誰もがそれぞれの方法で悲しみ、喪失に対処します。 以下のことは喪失後に役立つと言われていることですが、すべてを行う必要はありません。参考にされて、ご自身のできそうなことを探してみて下さい。 【1.自分自身をケアする】 自分に対して優しい気持ちを持ちましょう。どんどん回復することを期待せず、心が楽になるのには時間が必要であることを心にとめておきましょう。 十分な睡眠をとり、三度の食事をしっかりとるように心がけましょう。また、自分の助けになると感じる人と、一緒に時間を過ごして下さい。他の人に助けを求める時、その人の重荷になるのではないかと心配しないで下さい。何か具体的にしてほしいことがあれば、その人にそのことを伝えてみて下さい。 泣くことを恥ずかしく思わないで下さい。泣きたい時は、無理に止めようとせず、流れる涙をそのままにしておきましょう。 将来が不安で仕方がない時は、その日のことだけを考えて下さい。しばらくは一日一日を生きていきましょう。 日々の雑用によって気が紛れる場合があります。何かを行う場合は、目標は小さく、現実的なことから始めましょう。大きな決断は、できれば生活や気持ちが落ち着いてからのほうが良いと言われています。 以下のことは、長期的に健康上の問題を引き起こしやすいと言われていますので、できるだけ避けましょう。 アルコールや薬物を過剰に摂取すること 過剰に活動したり、休むことができないほど、自分に何かを大きな責任や役割を課すこと 誰にも会わずに長期間引きこもってしまうなど、今までになかった行動をとること 【2.現実を受け入れる】 現実を受け入れるために、無理のない範囲で、自分の住み慣れた町など災害が起こった場所に行くこと、通夜や葬儀、追悼式などの供養の儀式に参列すること、その出来事や自分の体験を信頼できる人に話してみること、などが助けになることがあります。 災害後に起こる心や身体の変化は個人差があり、比較的短い期間で落ち着く人もいれば、何年も続く人もいます。また、時間が経ってから一旦おさまっていた感情が再び襲ってくる場合もあります。「どうして今頃になって…」と思うかもしれませんが、行きつ戻りつしながら、人は新しい生活に適応していきます。かかる期間や苦悩の程度を、人と比べる必要はありません。自分のペースで受け入れていくことがとても大切です。 【3.信頼できる人と話をする】 なくした人との思い出や記憶は、今はつらいものかもしれませんが、一方で、決して忘れることのできない大切なものでもあります。死別を経験した時は、自分にとって負担のない方法で自分の気持ちや思い出を話すほうが、心の中に閉じ込めてしまうよりも、心が楽になりやすいと言われています。話をしたくない時に、無理にする必要はありませんが、信頼できる人と話をすることで、次第に自分自身を整理し、つらい記憶の感じ方も変わってきます。 多くの人は災害後、衝撃的な場面が頭から離れない状態になります。話をする時は、自分が話したいと思うことを、自分のペースで少しずつ話すようにしましょう。恐怖のイメージが強い場面も、話せる所だけを人に話すことが良い時もあります。そのイメージが心からなくなることはありませんが、多くは次第に慣れてきます。話をする時にドキドキする場合は、その途中にゆっくりと深呼吸をして下さい。 【4.自分をサポートしてくれる人を探す】 家族や友人、同僚、支援団体など、自分が一緒にいてほしい人、回復の助けになる人を探してみましょう。日常しなければならないことで、自分ひとりでは難しいことは、助けを求めましょう。このような時、人は力になってくれるものです。 同じ体験をした人が集まる「わかちあいの会(遺族会)」という会あります。そこで自分の気持ちを聞いてもらうことが、大きな助けになることもあります。 【5.そのほかに知っておいて役立つこと】 恐怖感や悲しみなどのストレスが、強い身体の反応となっている場合があります。身体の不調が続く場合は、医療機関を受診して下さい。また、身体を動かすウォーキングや運動、ヨガ、マッサージ、音楽を聴く、歌をうたう、公園の散歩など、自分なりのリラックスできる方法を少しずつやってみて下さい。 何時に起きて、何時に出かける、何時に就寝するなど、毎日の生活の決まったスケジュールを作ってみましょう。これは子どもにも役立ちます。いつも同じようなパターンが繰り返されることで、心の安全感を少しずつ取り戻すことができます。 誰かに対して怒りが爆発してしまうこともあります。喪失後に怒りを感じることは自然なことですし、それを安全な形で表現することは、自分だけを責めてしまうよりも良いことなのです。抑えられない怒りに苦しむ時には、信頼できる人にその気持ちを聞いてもらいましょう。気持ちを話すことで、怒りの感情を少しコントロールしやすくなります。 災害後、人間関係が大きく変化することがあります。自分から、友人や家族、同僚、近隣の人々を、過度に遠ざけてしまわないようにしましょう。一人になりたい時には、相手にそのことを伝え、お互いに必要な時間と空間が確保できるように相談してみましょう。
自分の目の前にある現実を、ありのまま受け入れるには時間がかかります。その状況に慣れることは大変なことです。悲しみに圧倒され、まるで自分の身体の一部を失ったかのように感じるかもしれません。
困難な時期には、毎日、自分にできることを少しずつやってみることが大切です。誰もがそれぞれの方法で悲しみ、喪失に対処します。
以下のことは喪失後に役立つと言われていることですが、すべてを行う必要はありません。参考にされて、ご自身のできそうなことを探してみて下さい。
【1.自分自身をケアする】
【2.現実を受け入れる】
【3.信頼できる人と話をする】
【4.自分をサポートしてくれる人を探す】
【5.そのほかに知っておいて役立つこと】