支援者の燃えつき


支援する方へ

災害時やその後の支援活動には、さまざまなストレスが加わります。支援活動の中で遺体や悲惨な光景を目撃すること、被災者の悲しみなどの感情に触れること、支援として対応すべきことに十分に応えられず罪責感を感じることなどは、その代表的なものです。

 

特に、ご遺族の話を聞くことは、熟練した経験豊かな支援者でも、非常にストレスが高く、無力感や挫折感を伴いやすいと言われています。死別やトラウマに関わる話に共感的に応答し、その思いを理解しようとする努力自体が、支援者を疲弊させることが知られており、それは近年、「共感性疲労」や「代理受傷」という言葉で呼ばれています(1995 Figley, 1999 Herman)。

この共感性疲労は、対人援助が受ける二次的なストレスで、バーンアウト(燃え尽き)の一つの形です。

 

燃えつきを予防する対策としては、心に傷を持つ人たちの支援は、強い疲労感や無力感を引き起こすことをあらかじめ覚えておき、自分自身でセルフケアを実践するように心がけることです。

過労にならないよう十分な休息をとり、睡眠・食事・人間関係などの私生活を充実させましょう。また、仕事においても、誰にでも限界があることを認識し、一人で抱え込まないようにしましょう。支援チームを組み、同僚のサポートや上司の指導を受けながら行うことも良いでしょう。

 

支援を実際に行う際は、ご遺族との距離感を意識しましょう。距離が遠すぎると支援として成立しませんが、近すぎることも、ご遺族・支援する人の双方にとって、あまり良いことではありません。支援する人が相手との距離を保つことが難しい時は、必ず周囲の人に相談しましょう。適切な距離を維持することが、支援を長続きさせるためにも役立ちます。

 

まずは自分の心身の安全を確保し、支援者が健康であることが、支援を行う上で最も重要なことです。

 

 

※Figley CR (1995) :Compassion Fatigue;Coping with secondary traumatic stress disorder in those who treat the traumatized. Brrunner-Routledge.

Herman JL [著]、中井久夫 [訳] (1999) :『心的外傷と回復』みすず書房