悲哀の4つの課題


悲嘆(グリーフ)とは

悲嘆(グリーフ)によく似た言葉に、「悲哀(mourning)」という言葉があります。一般には、喪失に対する反応を「悲嘆」、喪失後に時間の経過に伴い変化する心理過程を「悲哀」と言います。

また、「悲哀(mourning)」は、「喪」という言葉で訳される場合もあります。心の中の悲しみを悲嘆(グリーフ)、外に表される悲しみを「喪(モーニング)」というように使い分ける人もいます。

 

Worden(2008)は、大切な人を失った人には、悲哀で取り組むべき4つの課題があると述べました。悲哀は、時間が経てば自然に癒える受け身的なプロセスというよりも、むしろ、つらくともその人自身が以下の課題に能動的に取り組むプロセスであると考えられています。悲しむこと自体が、悲嘆の回復には意味があり、必要なことなのです。

 

【Wordenの悲哀の4つの課題】

第1の課題  喪失の現実を受け入れる

  • その人が逝ってしまい、もう戻ってくることはないという事実に直面する。
  • 葬儀などの伝統儀式は、多くの遺族を死の受容に導く手助けになる。

 

第2の課題  悲嘆の苦痛にむきあう

  • 悲嘆の苦痛を回避すると、悲哀を長引かせることがある。

 

第3の課題  亡くなった人のいない環境に適応する

  • 亡くなった人との関係や、亡くなった人が担っていた役割によって、新しい環境への適応は異なった意味を持つ。
  • 個人の世界観の問い直しが迫られ、喪失の意味を探ろうとする。

 

第4の課題  亡くなった人との情緒的に再配置し、自分の新しい生活に力を注ぐ

  • 心の中に、亡くなった人を新たに適切に位置づける(そっとそばで見守ってくれている、心の中でいつも一緒に生きていく、など)。
  • 亡くなった人を苦痛なく思い出せるようになった時、悲哀は完了したとみなせる。

 

※Worden JW (2008) :Grief Counseling and Grief therapy:A handbook for the Mental Health Practitioner. 4th edition. Springer Pub Co. より抜粋