家族や友人を亡くすことは、子どもの人生にとって非常に大きな出来事です。死別は、子どもの環境、人間関係、精神的健康、性格形成といったその後の発達に、大きな影響を及ぼすといわれています。一方で、子どもは周囲からの十分なサポートがあれば、大人以上に死別からの回復力があることがわかっています。 1.子どもの悲嘆反応 子どもは、大人とは、悲しみの表現方法が異なると言われています。 大人の場合は、通常死別後数ヶ月は非常に強い悲嘆反応を示し、時間の経過とともに少しずつ落ち着いてきます。 一方、子どもの場合は、悲しみは成長過程の中で常に存在し、形を変えて表現されます。たとえば、誕生日や思い出の日、学校への入学、卒業、就職、結婚といった時に、その人がいない現実を実感し、そのたびに悲しみや寂しさ、孤独感など感じることが多いのです。その結果、子どもが大切な人の死を理解し、受け入れるには、年月がかかると言われています。 2.さまざまな悲嘆の表れ方 子どもにあらわれる悲嘆反応はさまざまで、不安や悲しみを強く見せる子もいれば、逆に無邪気に遊んでいたり、何事もなかったように振る舞う子どももいます。悲嘆が身体面(寝つきの悪さ・食欲不振・頭痛や腹痛など)に表れる場合もあります。また、夜泣きや指しゃぶりなど、年齢より子供っぽくなる場合もあれば、逆に大人びた行動をとる子どももいます。学童期以降では、学業不振が続く場合もあります。 このように「目に見える」行動は、周囲の大人にとって見つけやすいものです。しかし、外に表出しづらい「目に見えない」思いや、潜在的な感情があることにも配慮する必要があります。特に6歳を超えると、「自分が死を防げたのではないか」と自責の念を感じるようになり、それが子どもの自尊感情を低下させることがあります。 また、大人が子どもを悲しませないようにと、死に関する事実を伝えなかったり、通夜や葬儀などの儀式への参加を制限したりする場合があります。子どもに対しても、正直に、年齢に応じた理解しやすい言葉を使って、大人がきちんと説明することが大切です。 子どもは大人から、悲しみへの対処の方法を学びます。子どもだからと蚊帳の外に置かず、子どもの悲しみに寄り添う姿勢が大切なのです。
家族や友人を亡くすことは、子どもの人生にとって非常に大きな出来事です。死別は、子どもの環境、人間関係、精神的健康、性格形成といったその後の発達に、大きな影響を及ぼすといわれています。一方で、子どもは周囲からの十分なサポートがあれば、大人以上に死別からの回復力があることがわかっています。
1.子どもの悲嘆反応
子どもは、大人とは、悲しみの表現方法が異なると言われています。
大人の場合は、通常死別後数ヶ月は非常に強い悲嘆反応を示し、時間の経過とともに少しずつ落ち着いてきます。
一方、子どもの場合は、悲しみは成長過程の中で常に存在し、形を変えて表現されます。たとえば、誕生日や思い出の日、学校への入学、卒業、就職、結婚といった時に、その人がいない現実を実感し、そのたびに悲しみや寂しさ、孤独感など感じることが多いのです。その結果、子どもが大切な人の死を理解し、受け入れるには、年月がかかると言われています。
2.さまざまな悲嘆の表れ方
子どもにあらわれる悲嘆反応はさまざまで、不安や悲しみを強く見せる子もいれば、逆に無邪気に遊んでいたり、何事もなかったように振る舞う子どももいます。悲嘆が身体面(寝つきの悪さ・食欲不振・頭痛や腹痛など)に表れる場合もあります。また、夜泣きや指しゃぶりなど、年齢より子供っぽくなる場合もあれば、逆に大人びた行動をとる子どももいます。学童期以降では、学業不振が続く場合もあります。
このように「目に見える」行動は、周囲の大人にとって見つけやすいものです。しかし、外に表出しづらい「目に見えない」思いや、潜在的な感情があることにも配慮する必要があります。特に6歳を超えると、「自分が死を防げたのではないか」と自責の念を感じるようになり、それが子どもの自尊感情を低下させることがあります。
また、大人が子どもを悲しませないようにと、死に関する事実を伝えなかったり、通夜や葬儀などの儀式への参加を制限したりする場合があります。子どもに対しても、正直に、年齢に応じた理解しやすい言葉を使って、大人がきちんと説明することが大切です。
子どもは大人から、悲しみへの対処の方法を学びます。子どもだからと蚊帳の外に置かず、子どもの悲しみに寄り添う姿勢が大切なのです。